副鼻腔とは鼻の周りにあり、鼻の両側の上顎洞(じょうがくどう)・目と目の間の篩骨洞(しこつどう)・眉間から眉上の前頭洞(ぜんとうどう)・篩骨洞のさらに奥に位置する蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の左右4つずつ計8つで形成されています。副鼻腔炎(蓄膿症)とはこれらの副鼻腔の中に膿が溜まったり、粘膜が炎症を起こしている状態です。副鼻腔炎には、大きく分けて急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎があります。
風邪や花粉症と混同されがちですが、症状は異なります。
鼻水 | くしゃみ | かゆみ | 熱 | |
副鼻腔炎 | ドロドロとした | △ | × | △ |
風 邪 | サラサラから ドロドロに変化 |
○ | × | ○ |
花粉症 | サラサラとした | ○ | ○ | △ |
急性副鼻腔炎の原因
・風邪をひいた後に細菌やウイルスが感染する
・花粉やハウスダストなどによるアレルギー性鼻炎
・上の歯が虫歯になっていたり、炎症を起こしている
・大気汚染などによる副鼻腔が炎症を起こしている
など様々です。
一般的に左右どちらかの鼻に症状が出ます。
・鼻づまり
・黄色のネバネバした鼻水
・頭痛
・頬や目の周り、額が痛む
・臭いがしない
副鼻腔は鼻の奥にあり、鼻の中を診察しただけでは正確に診断することが困難ですので、内視鏡カメラを用いて副鼻腔からネバネバした鼻水が流れているのを確認します。
当クリニックでは鼻の奥の副鼻腔の鼻水までしっかり吸引し、抗菌薬やステロイドを直接副鼻腔に送りこみ炎症を抑えるネブライザー治療を行います。
細菌による感染が急性副鼻腔炎の最大の原因のため、細菌の増殖を抑える抗生物質使用したり、炎症を抑える消炎剤や鼻水を出しやすくする抗アレルギー薬や去痰薬などを使用します。
*急性副鼻腔炎は自己免疫力で自然治癒してゆくこともありますが、炎症がひどくなると治療に時間がかかるだけでなく、慢性副鼻腔炎に移行することもあります。そのためしっかり通院し、処方されたお薬をきちんと服用しましょう。
慢性副鼻腔炎は一般に急性副鼻腔炎が繰り返し起こったり、完全に治らず3ヶ月以上続くなど慢性化した状態をいいます。
急性副鼻腔炎と違い両方の鼻に症状が現れます。
・鼻づまり
・後鼻漏(鼻水がのどの奥に流れる)
・黄色のネバネバした鼻水
・臭いがしない
・倦怠感、頭重感
・鼻茸(ポリープ)ができる
急性副鼻腔と同様に、鼻の中を直接診察するだけでは正確に副鼻腔炎の診断はできませんので、内視鏡で鼻茸(ポリープ)ができていないかなどを確認します。
細菌の増殖を抑えるマクロライド系抗生物質を少量長期投与(2か月~3ヶ月)を行います。抗菌剤を長期間服用すると不安になる方もいらっしゃいますが、この治療法は重篤な副作用が少ない服用方法です。また、炎症を抑える消炎剤なども使用します。
副鼻腔に溜まった鼻水は細菌やウイルスを多く含んでいるので、できるだけ鼻をかんで出し切りましょう。ご自宅で鼻をかめないお子さんであれば、鼻の奥に溜まった鼻水を吸引するとスッキリして楽になりますので、お鼻の吸引だけでも通院してください。急性副鼻腔炎と同様、ネブライザーを使用し抗菌薬やステロイドを直接副鼻腔に送りこみ、炎症を抑えますので、こまめに通院し治療していきましょう。