インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こります。このウイルスは寒さと乾燥を好むため、毎年12月~3月ごろに猛威を振るう感染症です。のどの粘膜上で増殖しますので、インフルエンザウイルスを含む唾液や痰が、咳やくしゃみにより空中に飛び散り、これを吸引したり、ドアノブなどに接触することで感染し、流行していきます。このような感染形態を飛沫感染・接触感染と呼びます。
通常、症状は約1週間ほどで軽快しますが、特に乳幼児、高齢者で基礎疾患をもっている方では、気管支炎、肺炎などを併発したり基礎疾患が悪化したり、重症化しやすくなる怖い病気です。
インフルエンザとかぜ症候群の違い
インフルエンザ | 風邪 | |
発症 | 主に12月~3月 | 1年を通して発症 |
発熱 | 38度以上の高熱 | 37度台 |
悪寒 | 強い | 弱い |
症状 | 鼻水、のどの痛み、頭痛、 関節痛、筋肉痛 |
鼻水、鼻づまり、くしゃみ、 咳、のどの痛み |
重症化 | 重症化しやすい | ほとんどしない |
合併症 | 肺炎、気管支炎など | 中耳炎や副鼻腔炎など |
発生状況 | 流行する | 散発する |
インフルエンザの潜伏期間は1~2日で発症し、高熱を伴うのが特徴です。風邪でも同様に高熱を伴う場合もありますが、インフルエンザでも高熱にならない場合もあります。
インフルエンザと風邪を区別するためにウイルス同定検査を行います。当院では呼吸器感染症(風邪症候群)の迅速診断装置があり、早くて発症後3時間経過しただけでもインフルエンザを診断することができます。
インフルエンザの治療薬は体内でインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬を使いますが、発症後2日以内の服用が必要です。その間は水分補給をしっかりし、周りの方にうつさないようにてください。
インフルエンザの対策として有用なのがインフルエンザワクチン(予防接種)です。ワクチンは不活化ワクチンといいインフルエンザウイルスの活性していない抗原性のある成分のみを精製したものです。ワクチンで事前に体内に抗体を作ることで、感染を完全に防止できませんが、インフルエンザを予防または軽症化することができます。接種後(12歳未満は2回目接種後)約2週間で効果があり約半年効果が持続します。ですのでインフルエンザの予防接種は10月上旬より12月中旬頃に行われるのが望ましいです。